Shin Yamagata

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交差点




新しいカメラを持って近所を歩いていた。路地の交差点にある家の前に妙な空間があった。ひまわりが咲いていたり、タイヤが転がっていたり、奥の方には緑色の水が入った水槽も見えている。地面は濃いねずみ色のコンクリートのところと白っぽい砂利のところがまだらにあるし、そこに植わっている木もまだらに点々とある。そんなところにカメラを向けていると、自転車を押しているおじいさんに近いおじさんが何を撮っているんだと声をかけてきた。
カメラを向けているところがどうでもいいようなところだから何を撮っているのか気になって聞いてくるのはなんとなくわかるけど、その質問に対してどう答えていいのかいつもわからなくて困ってしまう。
桜の咲くころにカメラを持って歩いていると、あっちにきれいな桜の木があるとか、そっちにはきれいな花が咲いているとか聞いてもいないのに教えてくれる人がいる。そういうのはそういうのでありがためいわくで困ってしまうけど、前者ほどの困りようではない。適当にきれいですね〜とか言ってれば済む話だけど、何を撮っているのかというのはきれいですね〜では済まない。とりあえずこの辺の風景を撮ってますと言うのだけど、その答えに満足気な表情を浮かべる人はいなくて、どちらかといえば怪しむような顔をする人のほうが多い。そのおじいさんに近いおじさんも風景?という感じで聞き返してきた。
つづく