Shin Yamagata

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2月19日




窓に小さな水滴がたくさんついていてその影が白いカーテンに黒い水玉として投影されている。窓についた水滴や窓そのものは写真にとって被写体となりやすい。窓は言葉との関連において、水滴はレンズとの関連において、その逆もありえる。彼女は先人に見習いその光景にレンズを向けてみる。水滴にピントを合わせたいのだがピントのヤマがよくわからない。どうせほとんどピントなんて合わないんだからだいたいでいいかと思いシャッターを押す。しかし露出オーバーだ。被写体が白いから少し多めに露光したら光が多過ぎた。こうやって適当に写真を撮っているとなんだかすべてが適当でいいような気持ちになるし、厳密な言葉で写真を固めている連中やそういう言葉で写真を語りたがる連中の窮屈さと言葉によって切断されないまま宙ぶらりんになっている何かとの間に漂うこのゆるくて適当な感じに酔ってはならない、彼女はそう自分を戒め再度シャッターを押すのだった。