Shin Yamagata

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8月29日
対岸の斜面にへばりついている集落を眺めながら、このあたり唯一の自動販売機で買った缶コーヒーを飲んでいた。一台の軽トラがすぐ横でとまり、眼鏡をかけたおばさんが下りてきた。どこからきましたん? だいたいいつもこんな感じで会話がはじまる。こんなとこなんもありませんやろ。そんなことはないです。と答えるのだけど、その先はどう言っていいのかいつもわからない。どういう写真を撮っているのか、写真を見せないまま説明したところで何がどう伝わるのかわからない。写真を見てもらっても何が伝わるのかはわからないのだから、とりあえず何か言えばいいのかもしれないのだけど、なんとなくそれ以上何も言わない。きれいなとこです。それくらいのことしかいつも言わない。おばさんは話しながら自動販売機の横に置かれた黄色い蓋の付いた木箱を開けた。なんだろうかと思っているとそこから新聞を一部取り出した。どういうことだろうか。このあたりは新聞配達というものがなく、契約している人たちがこの箱まで新聞を取りに来るシステムになっているということなのか、それとも、