Shin Yamagata

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4月8日
三脚を立ててファインダーを覗いていると声が聞こえた。坂の上でじいさんがこちらを見ていた。こんにちは、と言うとうれしそうな顔をして坂を下ってくるから、慌ててポケットからマスクを出して装着した。念のために話はできるだけしないでおこうと思っていたのだけど、じいさんがうれしそうに話すからつい質問をしてしまって話が長くなる。
「そやねん、米担いでな、ほんであの辺りで一回休憩してな(じいさんが山を指さす)、ほんで山の上でもう一回休憩して下ったら大野や、一杯やりたい人はな(と言っておちょこを形作った指でくいっと酒を飲む振り)米の上に一升瓶くくり付けてな、ほんで山の上で道が二手に分かれててな、こっちが大野でこっちがカタコウ、知ってるか?」
「ああ、あの一番奥の集落ですか?」
「そやそや、