Shin Yamagata

お知らせ  zine  Twitter   Instagram


 

f:id:blepharisma:20190531111230j:plain
6月6日
家を出るときには雨が降りはじめていた。ホームへの階段を降りているところに電車がちょうどすべりこんできた。急いで階段を降りて、扉が閉まる直前まで電車の進行方向に向かって歩いていく。昼間の電車は空いている。一番端っこに座って本を開いた。目的地まで十五分ほど。少しだけでも読み進めておこう。待ち合わせ場所になっている西口へ向かうとすでに二人は到着していた。もう一人は少し遅れてやってきて、あと一人はもうすでに現地にいるということだった。傘をさして歩いていく。ビルに入るとすでに到着していた女の姿が奥に見えた。目が合ったのにそのまま奥へと進んでいく。しばらくすると姿が見えるところまで引き返してきて、またこちらをちらっと見た。女に近づいていく間にさらに何度か目が合っているのに、挨拶らしいしぐさがない。こちらが手をあげても遠くを見るような目つきでこちらを見ている。何かやばいクスリでもやっているのだろうか、それとも人違いなのか、