Shin Yamagata

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9月11日
ロバートフランクが亡くなったのか。「THE AMERICANS」は何がいいのか最初は全然わからなかった。あれはいいといろんな人が言うし、どの本を読んでも歴史に残る写真集だ、みたいに書かれているから、そうなの? とは思っていたけれど、やっぱり何がいいのかわからなかった。みんな持ち上げすぎじゃねーのか? ほんとにみんないいと思ってるのか? みんながいいと言ってるからそれに合わせて騒いでるだけなんじゃねーの? あの下手くそに見えて仕方のないセザンヌの展覧会が話題になっているからとりあえず行って、インスタにでもアップしておこう、というようなレベルの話なんじゃねーの? それでもいろんな人がいいというから写真集は何度も見ていた。安くはないお金を払って写真集まで買ったのだけど、輸入されたものだから日本語がなくて、そうすれば自身で訳せばいいのだけど、そこまでのやる気はなかった。だけど、序文を寄せているのはケルアックだと何かで読んで知っていたから、「路上」を買って読んでみた。もちろん日本語に訳された「路上」だ。そうすると前よりは写真が見えるようになった気がした。小説に書かれていた「雰囲気」と写真に写っている「雰囲気」が重なった。ジュークボックスから流れてくる音楽まではわからないけれど、ジュークボックスがそこにある雰囲気はなんとなくわかるようにはなった。白人が写っていて黒人が写っていて国旗や十字架、シルクハットにカウボーイ、テレビ局もあればパーティー会場、飲み屋、ホットドック屋みたいな場所も写っていて、それぞれから何かしらの意味が読み取れそうだということがなんとなくわかりはじめる。アメリカという国がどういう国だったのかを知るようになり、そして、ロバートフランクがどういう立場で撮っていたのかという知識もそこに加わり、ますます立体的に見えはじめる手応えを感じはじめていた。そんなときに、今は亡くなってしまった長野さんと話す機会があった。聞いてみた。長野さんはあの「THE AMERICANS」をはじめて見たとき、どう思ったんですか? リアルタイムで見たんですよね? 長野さんは教えてくれた。あれはねー、