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7月3日
もうはっきりとは覚えていない。鹿児島から熊本へ向かっていたのだと思う。気づけば車窓から雪が見えたから電車は山を登ったのだと思った。九州のこんな南の方でも雪が積もっているんだ、そう思ったことははっきりと覚えていた。スイッチバックもあった気がすると思ったのは、改めて今、地図を見て、そこにスイッチバックらしき線路を見つけたからで、本当にあったのかどうか、もうはっきりとは覚えていない。それでも人吉という駅で途中下車して写真を撮ったことは覚えている。大きな川が流れていた。それが球磨川ということまでは覚えていないのだけど、地図を見るかぎりそれは球磨川で、だからやっぱりこの電車に乗ったのは間違いなさそうだった。内田百間の阿房列車では八代で降りることになるのだけど、あのとき八代で降りたのかどうか、はっきりと覚えていない。熊本で泊まった記憶はある。駅前は新幹線の駅を作っていたのだろうか、開発途中の殺風景が広がっていた。熊本駅から繁華街までが遠かったこともなんとなく覚えているのだけど、あれは電車できたときではなくて、原付で来たときだったかもしれないと思いはじめたのは、なんとなくTシャツを着ているイメージが浮かんだからで、ということは、やっぱりあのときは八代に泊まった可能性があって、電車をおりたときに西日が眩しく、工事中だかなんだか、改札が混み合っていて、