Shin Yamagata

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10月5日
家を出て自転車を漕いでいると、低い太陽の光が直接目に飛び込んできた。朝の6時過ぎだった。影が長すぎる。白くない太陽の光を避けて道の端を進んでいく。歩いている人もまだ少ない。駅に続く商店街もがらんとしている。空いた電車に乗って窓の外を眺めた。横から差し込む光はまだほとんど街を照らさず、影の中の町はまだ青白い。だけど、気温はすでに上昇していて車内には冷房が入っていた。天気予報では30℃を超えると言っていた。9月の間、暑い日が多く、寒いよりは暑い方がいいと常々思っていたのだけど、暑さがこんなに続くとさすがに嫌になってきて、夏がいいとか冬がいいとか言ってられたのは、春夏秋冬と四季があるからこそだと思い、最近は春と秋があやふやになって、季節の変化をはっきりと感じてきた数十年ががらがらと崩れ落ちていると感じている体は、年中暑そうな赤道に近い国になんて今更住めないんじゃないかなどと弱気になったりもするのだけど、そんな国に住む予定なんてないのだから考える必要はなかった。だけど、そんな弱気はこれからの