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6月29日
粟じゃなくて稗じゃなくてもう一つなんだったっけ？　それが思い出せなかった。去年の今頃、近所の畑でぐんぐんと背を伸ばしていたあれがどうしても思い出せなかった。夏の奈良で撮影していると、ときどき畑でみかけるあれが、東京のここに去年は植えてあったのに、今年は植えてない。前は地主のどでかい家が建っていたのだけど、その家をつぶして畑にしたところに植えてあった。ちなみに、家の向かい側にあった畑をつぶしてそこに新しいどでかい家が建った。金持ちには金持ちの論理がはたらいていてよくわからない。地主は毎年必ず色々な作物を育てているから、かつては、農家だったのかもしれないけれど、聞いたことはない。七十歳前後のおじいさんというかおじさんが畑に出ているのをときどき見かける。息子らしい若い男、といっても40歳台の男はセカンドバックを持って歩いているのをときどき見かける。いかにも成金、というような格好はしていなくて、着古したポロシャツにジーンズという