Shin Yamagata

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12月17日
サプライズをお手伝いしなければならなかった。火花がバチバチと飛び散ったあとに炎が灯るロウソクの刺さった誕生日プレートを店長が運ぶ、その隙に、わたしが事前に用意されたプレゼントを気づかれないようにそっとサプライズを頼んできた女の席まで運ぶ、そして、女が男にプレゼントを渡す、という流れだった。花火がバチバチしている上に「お誕生日おめでとうございます」と声を出しながら近づけば必ずそちらに目線がいく。その隙に反対側からそっとプレゼントを置いてくればいいだけだった。簡単だった。気付かれない自信があった。火花が飛び散る誕生日プレートが運ばれた。プレゼントをうしろに隠してプレートを持つ店長のあとを付いていく。席の二人が火花に注目して声を上げたタイミングを見計らい、店長のうしろからそっと離れて女の横に大きな紙袋に入ったプレゼントを置いた。物音一つ立てなかった。「わたしも気づかないくらいでした」プレートを運んだ店長がわたしの動きを褒め称えた。そして、どうやら、プレゼントを贈る女もプレゼントが置かれたことに気づいていないようだった。席の女がちらっとこちらを見た。わたしは女の隣のプレゼントをちらっと見た。アイコンタクトは成立しなかった。大変なことになってしまった、とプレートを運んだ店長と顔を見合わせるのだけど、