■

7月12日
駅の階段を下りながらみんなの服装をチェックした。ズボンは黒かベージュのチノパンだということだったけれど、黒いジーンズの男がいた。スラックスのような黒いズボンをはいた女もいた。靴はメーカのわからないスニーカーということだったけれど、プーマの靴をはいている男がいた。上は派手でない服装ということだったけれど、背中に「Revolution」と大きな字が、それも虹色の文字で書かれたプリントTシャツを着ている男がいた。言われたことをきちんと守らずに堂々と歩いている奴らがうらやましかった。これでこのバイトをクビになってもいいという覚悟なのか、それとも、ただのバカなのかはわからないけれど、とりあえずうらやましくて、言われたことを守ってしまった自分がはずかしかった。わたしは奥から引っ張り出したもう二年くらいはいていなかったベージュのチノパンに、上は黒の無地のTシャツ、靴は前にユニクロで買った白のキャンパス地の