Shin Yamagata

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6月27日
蒸し暑かった。あと一週間もしないうちにセミが鳴くかもしれないと思いながら歩いていたら、公園の奥からセミの声が聞こえてきた。アブラゼミだった。今季はじめて聞くセミの声に向かって勝手に足が進んでいた。すると、ぱたりと鳴き声が聞こえなくなった。空耳だったのかもしれない、いや、間違いなく聞こえていた、でもやっぱり気のせいだったのかもしれない、そう思いながら公園の奥へ足元を見ながら進んでいった。セミが出てきた穴を探していた。一匹鳴いていたということは他にも出てきているはずだった。小さな穴の周りに土が盛り上がっているのはアリの巣だった。アリは春から何度も見ていた。探しているのはセミの穴だった。なんの前触れもなくただぽっかりと開いている、アリのように掘ってきた土が穴の周りに溜まっていない、その唐突に開いた穴を