Shin Yamagata

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日が射す中を歩いていると夏のことを思い出してしまう。それくらい暑かった。首筋にジリジリと太陽の光線が当たっているのを感じながら歩いていく。夏のことを思い出しながら、もうすぐ、、、ちょっと先に夏があることも考えながら歩く。
濃いピンク色のアジサイを横目に見ながら、ゆったりと曲がる坂を下ると大きな道路に突き当たった。上からの太陽の光とアスファルトの照り返しを受けながら、その大きな道路の横を歩いていく。そこには日影はなかった。歩道橋の階段を登り、上から下の道路を走る車を見たり遠くの方を見たりしていると、二十歳くらいの若い女が一人歩道橋に上がってきた。その黄色い服を着た女は手に持った携帯電話から顔を上げないまま歩いていってしまった。その女は少し太っていた。
夏のことを思い出しつつ、少し先にある夏のことを考える。そして、思い出している夏とこの先にある夏は全然違うものだということにはっと気が付いた。