２秒

タイマーのボタンをポチッと押す。セットされた印画紙の上にネガの像が投影されている。耳にはイヤホンが入っていて、ipodから音楽が流れてきている。印画紙の上に当たっているネガを通過した光をボンヤリ眺めている。ここは少しはらった方がいいかもと思い、トンボを手探りで探して手に持ったときにパチンといって光は消えてしまった。まぁいいかと思い、時計を見て印画紙を現像液の中に入れる。現像液の中に手を入れて印画紙を裏返し、少し印画紙を揺すってみる。時計を見ながら時々現像液の入ったバットを揺らす。ipodからピアノだけの曲が流れてくる。こんな音楽あったっけな〜と思いながら現像液から印画紙を取り出し、停止液の中にいれる。現像液でヌルヌルになった手を停止液の中でこすり合わせ、ヌメリを落とす。そして印画紙は定着液の中へ。定着液の中で印画紙をひっくり返し、像が見えるようにする。しばらくして部屋の蛍光灯をつけ、定着液から印画紙を引き上げ、ポタポタと液がおちている状態で出来上がったばかりの写真を眺める。ジッと写真を見る。もう一度定着液の中に入れて、すぐに引き上げ、また写真を見る。はらう必要はなかったと判断し、露光時間をあと２秒減らしてもう一枚作ろうと思った。電気を消して印画紙の入った箱からまだ光に当たっていない印画紙を取り出す。光に当たっていないこの紙はまだ写真とは呼ばれない。タイマーのボタンをポチッと押す。