Shin Yamagata

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2月16日




午後6時には道の端っこに積み上げられた雪から冷気が吐き出されはじめた。しかしその時間に男は暖房の効いた室内でナイフとフォークを握り肉を切っていた。「ここのソースが最高なんだ。」という男の声を聞いた女は窓の外に見える電信柱の根元に積み上げられた雪から吐き出される冷気の色を読み取った。「ブルーなの、そう、ブルーよ。」男は皿に残ったソースにパンをこすり付けていた。街は青く染まりはじめ、そして暗い。女は窓の外からすでに視線を移しており、肉から滲み出る赤い血を見ていた。「あなたには何もわからない