Shin Yamagata

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7月12日
弁当は四種類あった。どれを食べてもいいということだった。一つだけとは言われていないから二つ食べてもいいのかもしれなかった。パンの入った弁当もあった。山積みにされた弁当の中からハンバーグ弁当を選んだ。脇に置かれた電子レンジで温めている間に、一本だけと言われていたペットボトルに入った飲み物を取りにいった。水とお茶しかなかったからお茶にした。弁当とペットボトルを持ってどこに座ろうかと部屋を見渡した。広かった。小さな体育館くらいはあった。12時前だからか、まだ席はガラガラだった。席の正面にはきちんとアクリル板が設置されていたけど、隣の席との間には設置されていなかった。今はまだどこに座っても誰かと隣り合うことはなさそうだった。アルコールも除菌シートもそれぞれのテーブルに置いてあった。誰も座っていないテーブルに座った。アクリル板越しに離れた席で弁当を食べる、さっきまで一緒に仕事をしていた人を見た。マスクを外していた。こんな顔だったのかと思いながら