Shin Yamagata

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4月22日
内田百間阿房列車に書かれていた風景に沿う道を下っている。周りは山に囲まれている。道路よりも高いところにときどき線路が見える。列車は見えない。高速道路もときどき見える。内田百間が見ていた風景の中には高速道路はなかった。山のこんもりとした膨らみは当時と今もきっと変わらない。下を流れる川もたぶんほとんど変わらない。滝が見えてその滝に若い頃の記憶が残っている、というようなことが阿房列車には書かれていた。その滝を見たいと思うのだけど、どこにあるのかわからない。トラックのうしろを原付で走っていた。うしろもトラックだった。前後を大きなトラックに挟まれて精神も肉体も圧迫されながらハンドルを握っていた。昔は列車の最後尾にも機関車をくっつけ、それでも歩くような速度でしか山を上らなかった、というようなことも書かれていたはずだけど、わたしは逆向きに走っているから下り続けていた。うっかりすると