Shin Yamagata

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5月2日
午前中から山の向こうに薄い雲がわいていたから午後までもたないかもしれないと思いながら撮影していた。背後に気配を感じて振り返ると、おじさんというにはまだ少し早い小太りな男が紙を広げながら坂道を上ってきていた。蛍光の黄緑色のラインが入った服をきていて、自転車かハイキングか、何かはわからないけど、地元の人ではないことはわかった。向こうがこちらに気付いたので頭を下げた。向こうが頭を下げたかどうか確認せずに、すぐさまファインダーを覗いたのは、ちょうど三脚を立てようと思っていたところで、三脚を立てようと思ったそのことが途切れないうちにシャッターを押してしまいたかったからだ。構図を決めてシャッターを押すと、すいませ~ん、うしろから声が掛かった。ここに行きたいんですけど。紙をさした指の先に、お地蔵様の絵があった。この集落を含めた近隣の略地図で、その地図がまったくよくわからない。お地蔵様はあったような気がするけど、こうやって変な地図を見てしまうとあったかどうかもわからなくなってしまう。看板があるところを曲がるようなことが書いてあるけど、この集落にそんな看板はなかった気がすると思ったのだけど、「大峰道」とだけ書かれた、看板とは言い難い、杭にかまぼこ板のような小さな板が取り付けられた