Shin Yamagata

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寒い。窓の外には広い庭が広がっている。色々な種類や大きさも様々な木々が(葉のついている木も幹と枝だけになっている木も)植わっている。そして枯れた茶色い芝生が広がっている部分が庭の中ほどに心地よい面積であるけども、その庭は曇り空のせいで気持ちよさそうには見えない。ただ寒そうなだけである。実際、窓からの隙間風のせいで部屋の中も、特に窓際は外と変わらないくらいに寒い。廊下には灰色の絨毯が敷かれてあるが、その絨毯を踏んだところで冷たいだけであった。
畳の部屋では水着姿の女が4人踊っている。インド人のような格好をした3人の男が脇に抱えた太鼓を激しくたたいている。部屋の襖を取り払ったあとに残っている柱に絡みつくように水着の女は踊りだし、その部屋に座っていた男の手を取り一緒に踊るように促した。男は少し恥ずかしそうにしながら女と同じように両手を上に上げ、小さく腰を振り始めた。女に促されてもいない男も立ち上がり手を空中でユラユラ揺らし始める。太鼓のリズムはさらに激しさを増すが、畳の部屋にはどこかしらけた空気が残っていた。