Shin Yamagata

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トリミング








展示してある写真をトリミング。
午前中、もう雨はあがっていた。今のうちに晩御飯を作っておこうと買い物へ出かけた。住んでいるところのすぐそばに小さい商店街があるけど、ここへ引っ越してきてからますますこの商店街は小さくなってきている。スーパーのような店もあったけど、そこも今年になって店じまいしてしまっていた。そこのレジで働いていたおばちゃんが駅に近いもう少し大きな商店街のお店で働いていることは前から知っていた。そのお店に行ったら「あら〜、久しぶり。お元気ですか〜」と話しかけてきた。「五十を過ぎてやっとイタリアの花が咲き始めています。」とか「あの時のこと覚えていらっしゃいます〜?他のお客さんが携帯電話で困っていたときに、わたし携帯電話を持っていなくて使い方がわからなくて、それであなたにお願いしちゃって〜」とか「そんな私も携帯電話を遂に持ちました。でもまだ使い方がよくわかんないですけどね〜」とかそんなことをずっと話し続けるから、僕は、「ああ」とか「へえ」とか言いながらヘラヘラ笑って、「あなたのお家はこっちの店が近いの?あっちのお店が近いのかしら?」とかあまり答えたくないような質問もされたり、それでレジで「にんじんいくらでしたっけ〜」って大声で男の店員さんに聞いて、「きゅーきゅーね」って言いながらレジを打ち、「あ、これ、おししいのよ〜。こんなの食べます?」って聞きながらにんじんが入った袋に個別に包装されている小さいクッキーをドサドサ入れてくれて、「またきてくださいね、お元気でね、」と言っているけど、僕はもうおばさんの方を向いてはいなくて出口に向かっていた。