Shin Yamagata

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11月3日




Gallery Ravenhttps://sites.google.com/site/galleryraven/)へ森下大輔写真展「名前のかたち」をみにいく。
プリントに目を奪われる。リスプリントという技法らしい。技法と絵というのか写った光がうまく噛み合っていて見ていて気持ちがいい。写ったものというのかイメージというのか単なる画像というのか、そういうことではなく、モノとしての手触りが強くある。この写真は紙なんだということを強く意識してしまう。写真に写っているものよりもまず、これはモノだということを感じてしまう。電線の線が電線の線ではなく粒子の集まり、あるいは手触りのある光の痕跡といったらいいのか、とにかく写っているものへと目がいくのだが、写っているものよりもそこにある画像を構成している粒状感というのか目触りというのかそういう感覚が先にたつ。思い返せば何が写っていたのか思い出せなくもないがあの独特のプリントの手触りの感触が強く残っている。それは見慣れぬプリントを見たからなのだろうか、そういえばどこかでダゲレオタイプの写真を見て(それも今から思えばモノだった、が、当たり前のようにモノだから特にモノだと感じない、モノっぽくないものにモノを感じることのおもしろさはない)、そのダゲレオタイプも見慣れぬものには違いないのに何の印象も残っていないのだから、やはり見慣れぬものを見たからというわけではないのだろう。技法だけが先立つわけではなく、きっちりと他の様々なものと合致していたからこそなのだろう。この写真はまさしく化学反応の結果であって、その反応の仕方はまだデジタル化されていない反応だ(たぶん)。このような化学反応もいつかデジタル化することになるのだろうか。まだまだ銀塩にしかできないことはたくさんあると思った。(展示は今日まで)