Shin Yamagata

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7月31日




集落の一番下の方からロケット花火の音がするのは、小さな川を挟んだ対岸にある畑に猿が進入してカボチャを抱えて走っている姿をこの集落にのぼる前にわたしは見ていて、その猿にようやくこの集落の住民が気付いて対策を講じたところなのだろうと思ったのです。斜面になっているところを飛び跳ねるように移動している猿の姿を見て、なんて軽い身のこなしなのだろうとそのとき感心していたのですが、ロケット花火を打ち上げていた現場に到着するとおばさんが「こっちにきて見て」と言って見せられたトウモロコシを植えてあった畑の惨状を見て、そしてせっかくここまで育ったのにとおばさんが残念そうな表情をするのを見て、猿の体の動きに感心していた自分は間違っていたのかもしれないと思ったのでした。おばさんはこれを誰かに見てもらっただけで少し気持ちが楽になったと言って缶コーヒーをくれるのです。