Shin Yamagata

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10月22日
駅の改札口を出ると警官が何人も立っている。もう令和になって数ヶ月も経つのに、今頃、天皇の即位の何かがあるとは聞いていて、もしかしたら警官に荷物を見られたりする可能性もあるから少し早めに来て欲しいとは言われていたけど、警官は行き交う人を見ているだけで、誰かを引き止めてカバンの中をチェックしたりはしていなかった。写真を撮っていて何度か職務質問を受けたことがあって、そういうときはもちろん非協力的な態度で接するのだけど、今回は仕事に遅刻するわけにはいかないから協力的な態度でさっさと終わらせようと、頭の中で予行練習をして、予行練習なのに、かばんを開けるのがめんどくさいし、中身をいちいち説明するのもめんどくさいし、何もかもがめんどくさいと思っていたのだけど、そんなことをする必要はなくて、なんとなく損した気分になっていた。少し歩くと車道にも警官が立っていて検問をしている。雨の中、大変だろうけど、歩道を歩くわたしをちらちらと見ないでもらいたい。車道に集中しろよというような思いを込めて、眉間にしわを寄せてじっと見返すと警官は車道に視線を戻した。何も悪いことをしているわけではないのに、警官に見られると嫌な気持ちになる。彼らの視線の中には嫌なものが混ざっている。職務上の理由というよりも、警察官だという立場でいることに