Shin Yamagata

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2月10日
東京から数百キロ離れた場所で縫った傷の抜糸だけをお願いした近所の整形外科医院にまた行くことになって朝の10時に家を出た。痛みは減ったものの、左手を背中にまわそうとすると上腕に激痛が走ってどうにもならない。評判のいい病院らしく待たされるということだったけれど、すぐに名前を呼ばれた。症状を説明してレントゲンを撮影することになった。「はい、ここを見て」入ったきたドアの上部に目をやると、壁にドラえもんの似顔絵が貼ってあった。次はここを撮影しますから、と体を斜めに向けられるとすぐ近くの壁にもドラえもんの似顔絵が貼ってあった。最後はこっちとさらに体を回転させられると目の前にまたドラえもんがあらわれる。痛みに耐えている何人もの患者がこの下手くそなドラえもんを見たのだと思った。それから随分待たされた。その間、持ってきた文庫本を読んだり、待合室のテレビを見たりして時間を潰した。わたしよりもあとにきた人たちが、どういうわけか、次々と名前を呼ばれて診察室に入って行く。この時間、レントゲン写真を現像しているのだろうか、というか、レントゲンはいまだにフィルムを使っているのだろうか。デジタル化されていて当然、どの業界もそんな気配に満たされているというのに、この病院のレントゲンはいまだにフィルムのままで、壁に掛けられたライトボックスのようなものにはりつけられた骨が白く写ったフィルムを見ながら、今も説明を聞いたりするのだろうか、それともやっぱりパソコンの画面を見て