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10月3日
新宿に写真展をみにいった。写真展を見るのも久しぶりだったけれど、写真展の作者のSさんに会うのも久しぶりだった。「ついこないだ来たTさんがまた忘年会やりましょうよって言ってたけど、山方君はめんどくさいから呼ぶのはやめましょうって言ってたよ」とSさんがヒッヒッヒッと笑った。Tにはぶち切れかけたことがあった。ぶち切れていたのかもしれなかった。そのときは何の飲み会だったか、誰かの写真展をみにいったあとだったか、4、5人で飲んでいたような気がする。写真を撮る側と撮られる側の不均衡な立場について話していた。撮る側の暴力性についてだ。熱心に話しているみんなを遮るようにTが言ったのは「楽しければなんでもいいじゃないですか」みたいなことだった。わたしの隣に座っていた女がまずTの胸ぐらを掴んで立ち上がった。「お前は楽しければ人を騙したり殺したりもするのか！」Tの眼鏡が少しずれた。暴力はいけないと思ってとめようとしたわたしは、握っていたジョッキの中身をTにぶちまけていた。口に含んでいたビールもTに噴きかけていた。Tの隣に座っていた男がTをかばおうと伸ばしたグーの手がTの顔面を殴っていたから、そもそもはじめから殴ろうとしていたのかもしれなかった。隣で楽しそうに飲んでいた合コンらしき男女6人のテーブルにジョッキや皿の割れる派手な音を立てながら倒れ込んだTの眼鏡はどこかに吹き飛んでいて、