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10月26日
仕事でタクシーに乗った。わたしはお金を払わない。だらしなくシートにもたれかかって、はぁーと息を吐き出した。今日は昨日よりも暑くて半袖でも過ごせそうなくらいに気温が上がっているのだけど、タクシーに冷房は効いていなかった。動いた直後で暑かったのだけど、冷房をお願いします、と言うほどでもないから窓を開けた。窓を開けるまで気づかなかったのが情けないのだけど、窓にはスモークがはってあるのか、偏光フィルターのようなガラスなのか、なんなのかよくわからないけど、車内に入ってくる光が少しカットされていた。半分開けた窓からの景色がきれいすぎた。色が輝いていた。カバンからカメラを取り出し、窓の外にカメラを向けた。山手線が高いところを走っているのが見えた。高架下を潜っていく。その前に一枚パシャり。大きな交差点に差し掛かり、信号待ちをしている歩行者にもカメラを向けてパシャり。カフェのテラスで休日をくつろいでいる人たちにもパシャり。脇を通るタクシーなど誰も気にしていない、撮られていることに気づく人は誰もいない、グーグルのストリートビューのような、なんとなくの無機質な気分にはなったりしないけど、何かの背後に隠れて人の気配をほぼ消去しながら、もしかしたらというか、たぶん、それが盗撮だと言われる行為なの